何かを熟練させるためには、質の高い心的イメージが不可欠

前回の記事の続きになります。
こちらの本で核となることが2つあります。

それは、

・心的イメージ
・限界的練習

の2つです。
今回は心的イメージについて書いていこうと思います。

心的イメージとは、名前の通り、心の中でのイメージです。
当書は、何か取り組んでいること(スポーツ、勉強、仕事等)の実力を向上させるという目的で書かれていて、私自身そういう実力向上を目指したい方に向けて記事を書いているので、
そういう用途での心的イメージについて掘り下げて書いていければと思います。

そういう用途においての心的イメージとは、

何かに取り組む際に心の中に描いているイメージ


を意味します。
多分これだけだとさっぱり分からないと思うので、もう少し事例をあげて説明出来ればと。

突然ですが、自分が自転車に乗っている時のことを想像してみて下さい。
自分が乗って運転しているところまで出来るだけ具体的に思い描いてみて下さい。

・・・・・どうですか?


・ペダルをこぐ感覚
・お尻がサドルに乗ってる感覚
・乗っている時の向かい風
・どれ位体を傾けると、どれ位曲がるか


なんとなーく、思い出せることと思います。
そして、この時に心の中で想像出来るイメージが、「心的イメージ」です。

この心的イメージは、取り組む「どんなこと」にも使われます。
他にもいくつか例を挙げてみます。

・仕事での例
仕事Aと仕事Bの2つを抱えていたとします。どちらも期限まであまり余裕がありません。どっちも未着手の状態です。
仕事Aに関しては作業を進めて半分位のとこで一度他社さんに許可をもらってからじゃないと、続きを取り組むことが出来ません。
仕事Bに関しては誰に許可をもらわなくても、全部自分で作業を進められます。


この時に、
「期限まで余裕がない。まず仕事Aを半分終わらせて、他社さんに許可を頂くメールを投げよう。返信がくるのに時間がかかるかもしれないから、その間に仕事Bを進めて、もし他社さんから返信がきたら、その段階でBは中断してAを再開しよう。メールの返信がもし1日経っても来なかったら電話をしよう。」


と取り組む前に心の中でイメージしたとします。
そのイメージが、心的イメージです。


・野球バッティングでの例
あるバッターが、ピッチャーの投球を待機してました。2ストライク、2ボール。
「このピッチャー、変化球が凄い・・・とても自分には当てられそうにない。でも、ストレートならどうにか当てられそう。さっき変化球2球投げたから、おそらく今度はストレートだろう。自分の苦手な内角高めに投げてくるだろう・・・投げてきた!予想通りストレートの内角高め・・・あっでもこれはボールだ、見逃そう。・・・よしボールだ!」

こういう思考過程そのものも心の中でイメージしているので、心的イメージです。

 

それ以外にも、私達はありとあらゆるところで心的イメージを使っています。

・ブログを書く時(脳内で文章の構成を考えたりしながら、脳内でイメージします)
・ボーリングをする時(投球のイメージを脳内でしながら実際投げます)
・将棋、囲碁をする時(何手先までどうなるかイメージします)
・会話をしている時(ドラゴンボールの話を相手にされたとしたら、自分が知ってるドラゴンボールの知識と結びつけて考えながら、相手に返答をする。この過程ではずっとイメージをしています)

等々、私達が行っている全てのことに心的イメージを活用していると言って過言じゃありません。

そして当書では、

物事を上達させるためには、質の高い心的イメージを取得することが必要不可欠

だと説いています。
確かに本当にその通りで、仮に藤井聡太さんの将棋の心的イメージを完全に真似することが出来たとしたら、羽生さんにも勝ててしまう実力を手に入れられてしまうことになります。
将棋のようなボードゲームや勉強のように体を使わないものなら、一流の人の思考プロセス、すなわち心的イメージそのものがあればその人と同じ実力になりますし、
スポーツでも身体的能力さえその人と同じになれば、後は心的イメージさえ手に入れてしまえば、こちらも同じ実力になれます。


よく、上手い人の真似をしろという話があると思います。
この心的イメージの話から導き出せるのは、
その人の行動だけをそのまま真似するだけでは不十分で、
その人がどういう風に考えてどういうことを心の中でイメージしてその行動をとったのか、
ここまで真似出来て始めて真の真似となります。

なので、その人がある行動をした時、その人がどういう意図でそういう行動をしたのか、どういうイメージをしていたのかを聞いたりしながら、自分のものにしていくことが非常に重要です。この重要性は当書で繰り返し言われています。


そして、この心的イメージを向上させるための練習方法として、
限界的練習と名付けた方法を提案し、当書で説明しています。
次の記事では、その限界的練習について説明させて頂ければと思います。