最後に改めて、なりたい自分になるために

本日まで、「超一流になるのは才能か努力か?」に関する記事を書いてきました。

「超一流になるのは才能か努力か?」を読んで
本の概要-能力は天性のものではない、後天的に培われるもの
何かを熟練させるためには、質の高い心的イメージが不可欠
当書の肝、限界的練習とはその1
当書の肝、限界的練習とはその2
効率の良い練習をしていくために
先生不在、独学で力を伸ばすには
その他、あの本を読んで学んだこと

本の原文の内容は難しかったり、ここは補足を加えた方が良さそうだなと思うところがあったりしたので、
出来るだけ自分なりに噛み砕いて説明をしたり、独自の考えや方法をつけ足したりしたつもりです。
・・・そしてその結果、8記事も書いていて驚きました(笑)
1つの本に関してここまで記事を書くことってもう無いかもしれません。でも、それ位に勉強になることが多い本でした。
この本は「何かを上達させたい」と思う全ての人に役に立つ本だと思っています。

よく、

量×質

みたいな話があると思うんですが、
量:どうやって継続するか、意欲を高める等
質:限界的練習と心的イメージの話を中心に

量の向上に関する話、質の向上関する話、どちらに関してもかなり充実して書かれています。ここまで充実した本他にあるのかと思ってしまう位に。
調査結果を元に、数字や事例とかを根拠に説明されていることが多かったので、内容にも信頼性がありました。

「もうちょっとこれを頑張って技術を高めてみたい」と思う気持ちを、
多かれ少なかれ誰しもが持っているのでは無いかと思っています。
そんな方にぜひ読んで頂きたい本です。

超一流になるのは才能か努力か?

私自身この本を読んでみて、今まで不完全だった考えが明確になってきたり、
新しく知れたこと、吸収できたことがたくさんありました。
そして、今やってる英語の勉強、プログラミングの勉強に役立ちそうな内容ばっかりでした。
もちろん本を読んだだけでは意味が無いので、今後はこの本で学んだことを実際に勉強に活かしていこうと思います。

当記事を含めて、この本に関することは9記事になってしまいましたが、
ここまで読んで下さった方々、本当にありがとうございました。
もし、当書に興味を持たれた方がいましたら、ぜひ買ってみて下さい!

その他、あの本を読んで学んだこと

今までに何回にも渡って、読んだ本に関することを書いてきました。

elephantprosody.hatenablog.com



書きたいことは今までで大分書けたのですが、今回の記事では書ききれなかったことを忘備録的な感じで箇条書きで書いてければと思います。

・壁にぶつかった時にそれまでとは違う練習方法を試してみる
この重要性はM君に某音ゲーを教えた時、非常に痛感しました。それまでの練習法で詰まったなら、その練習を何も変えずに続けても効果は薄いです。
練習A、練習B、練習Cみたいな感じでいくつか練習法のバリエーションをもたせて、停滞したら別の方法に切り替えたりするのが大事なんだなと思いました。

・訓練で歳をとってからでも海馬は大きくなる。(子供の時期じゃなくても、脳を発達させることが出来る)
ロンドンのタクシー運転手になるのはかなり障壁が高く、かなりのことを記憶しなければならないみたいなのですが、
タクシー運転手になれた人の脳の大きさを調べたところ、記憶の形成にかかわるとされる「海馬」の部分が大きくなっていたとのことです。
私は記憶力だとかそういうものは先天的なものが大きいとそれまで思っていたので、その考えが覆りました。

・人間の能力には無限大の可能性がある
時が経つにつれて、
練習法を実践して素晴らしい結果を出した人達が練習法をまた洗練して、その人達が後継者を育てて・・・っていうのが繰り返されて、誕生する記録のレベルもどんどん上がっていき、昔では考えられなかったようなレベルに到達するということが色々なジャンルで見られています。

・若木矯正効果
本で印象的な文言があったので、引用しておきます。

若い脳、すなわち子供や青年の脳のほうが大人の脳より適応性が高く、訓練の効果は若い人の方が大きくなるという点だ。

 当書を読んでいると、小さい頃で無ければ育てられない脳の部分もあるみたいで、世界一のピアニストとか、囲碁や将棋のNo1等そのレベルを目指すなら、小さい頃からの訓練が無いと厳しいんだなと思いました。
しかし、大人になってからでも、限界的練習を積めば、十分なレベルアップは可能だということも書かれていますし、その通りだと思います。

・全体的な流れを事前にイメージする
何かを行う際に、シュミレーションを事前に行うことの有用性が書かれていて、仕事とかに活かせる話だと思いました。

・限界的練習は楽しくない
以前お話したバイオリンの学生達から聞き出した話の中に印象的なものがあったので、また引用します。

重要な発見の一つが、学生たちが能力向上に重要と答えた活動のほとんどについて、非常に負担が大きく、あまり楽しくないと感じていたことで、例外は音楽鑑賞と睡眠だけだった。トップクラスの学生から将来の音楽教師まで、誰もが能力を向上させるのは大変であり、そのために必要な活動を決して楽しんではいないことを認めた。つまり練習が好きで好きでたまらず、他の生徒より意欲が低くても練習量に影響しないという者は一人もいなかったのだ。学生たちにとことん集中して猛烈に練習する意欲があったのは、そんな練習が能力を向上させるのに不可欠だと考えていたからだ。


この話は凄い衝撃的でした。何かに優れている人は、それが楽しくて楽しくてしょうがなくて、ひたすら没頭した結果、実力をつけているのかなと思っていたので。
ここから言えるのは、「能力向上のための」練習は楽しくないということだと思います。
私はこのブログ書きは楽しくやらせてもらっているのですが、「ブログを書く能力向上」を目指してやっている訳では無く、書きたいことを書いているから楽しいんだなと。

・人間の能力の限界は遺伝的特徴で決まるというのは誤解である
限界的練習を積めば、誰だって自分が目指したい道で能力を向上させられるということが書かれています。納得です。

・相手の心的イメージを盗む方法
当書では繰り返し心的イメージを取得することの重要性を語っており、上手い人の心的イメージを盗むことが上達の近道になります。ただし、相手の心的イメージは相手が心の中で考えたりイメージしてることなので、当然一見では分かりません。
そのため、何かしらの方法で相手の心的イメージを掴まなければならない。以下のようなことが当書でも紹介されていました。

-作業の後で振り返りレポートを作成してもらい、どこが簡単でどこが難しかったかを記入してもらう
-その人に作業をしてもらっている最中に一度作業の手を止めてもらい、その時の思考プロセスやイメージしていることを質問して聞き出す


・苦しい練習を続けるテクニック
先程限界的練習は苦しい時もあり、そんな苦しみにも耐えながら、その物事を継続していかなければなりません。
当書では、スペリングビー・コンテストでの生徒たちに練習が楽しいかを質問して、
その結果、下記のような話だったとのことです。

彼らはスペリングを勉強することなど、好きでもなんでもなかったのだ。最も優秀な成績を収めた生徒を含めて、好きだと答えた者は一人もいなかった。何千もの単語を覚えるために一人で何時間も勉強するのは楽しくなく、ほかのことをしたほうがずっと楽しかったはずだ。最も優秀な成績を収めた生徒たちの顕著な特徴は、退屈さやほかの楽しい活動への誘惑に抗い、勉強に打ち込みつづける能力が格段に優れていたことだ。


また当書では、限界的練習を継続することの厳しさも説明しています。

要は目的のある練習は負担が大きいのである。継続するのは難しい、継続したとしても(ジムに定期的に通ったり、ギターを毎週何時間か練習したり)集中力と熱意を維持するのは難しいので、次第に頑張らなくなり上達が止まってしまう。

 

継続していくのが厳しい限界的練習に対しての対策法も当書では記述されています。
以下のことが書かれていました。
-続ける理由とやめる理由を洗い出し、継続する理由を強くするかやめる理由を弱くする。
-決まった練習時間を設け、他の仕事や注意散漫になる要素をすべて排除する

以前私が書いたバイオリンの学生達について下記のようなことが書かれてました。
-朝起きるとすぐに練習する傾向があり、その時間に他に何もすることがないようにスケジュールを組んでいた。

-週の平均睡眠時間がSランクとAランクの学生がBランクの学生より5時間近く多く、それは主に午睡(昼寝)の時間のところで差が出ている(これは限界的練習をした後で回復のために昼寝をしている)

-Sランクの学生のほうが余暇にどれだけの時間を費やしたりしているか正確に記憶しており、スケジュール管理により真剣に取り組んでいたことを示されている。


私が書いた記事に、当書の内容も含めて書いたものがあるのでそちらもぜひ参考にしてみて下さい。

elephantprosody.hatenablog.com

 

下記の重要性についても当書で触れられていました。
-十分な睡眠をとり、健康を維持すること
-練習時間を1時間程度で区切って集中して練習すること

また、長期間にわたって練習を続けると、
-身体も心も練習に慣れてくる
-練習が完全に楽しくなることはないが、練習への苦痛はだんだん減っていき、楽しいと厳しいの中間位になっていく

ということも書かれていました。
私も早く英語学習とプログラミング学習に関して、勉強慣れしていきたいです。


・意欲を高めるためるのは何か
先程やめる理由を抑える方法(他への誘惑を絶つ等)を当書の内容から書かせてもらいましたが、今度は続ける理由を強くするものは何かついて書かせて頂ければと。
続けたい気持ち≒意欲で、何が意欲を強くするのでしょうか。

意欲に関わることとして、下記のことが当書に書かれていました。
-内発的な願望
これは例えばブログを書くことそのものが好きでブログを書きたいみたいに、
その行為そのものが単純に好きだったり、やりがいを感じたりして、そのことをやりたいという意欲です。
能力が向上して結果が出てくると、能力そのものが意欲になったり、
人から褒められて自己認識が変わり、モチベーション向上に繋がるという話も書かれていて納得感がありました。

-外発的な目的
私が英語の勉強をしているのは今のところここによるところが大きいです。
英語を取得してエンジニアの仕事に活かしたい、
みたいにその技能を取得した先に手に入る未来を目指して、というケースがこちらに該当します。

他にも、自分が成功すると信じる気持ち、その分野でトップクラスになれると信じる気持ちが意欲に繋がる、
外発的意欲の中でも、他者からの尊敬や承認のような社会的意欲は協力だという話もされていました。

・練習への心構え
当たり前のことなのかもしれないけれど、もの凄く大事な一文があったので、引用します。

これだけは忘れないでほしい。練習中に注意散漫になったりくつろいだり、楽しんでいるだけでは、おそらく上達はしない。

 
先程、限界的練習は楽しくないという話がありましたが、
能力を本気で向上させたいと思うのならば、楽をしたい、楽しくやりたいという気持ちは度外視しなければいけないのかもしれません。甘さを捨てなければと思いました。

他にも、歌唱レッスンを受けている2つのグループに対して、質問をした調査が当書でありました。片方のグループはプロで、片方はアマチュアです。
そこでの調査結果に、下記のような記述がありました。

被験者はアマチュアかプロかにかかわらず、レッスン後にはレッスン前と比べて全員がリラックスして生き生きとしていたが、気分が高揚したと答えたのはアマチュアだけだった。歌唱レッスンによってアマチュアは楽しい気持ちになったが、プロはならなかった。両者の違いは、それぞれのレッスンへの向き合い方にある。アマチュアにとってレッスンは自己表現の場であり、日頃の悩みを歌で吹き飛ばし、歌うことの純粋な喜びを感じる時間だった。一方、プロにとってレッスンは歌唱技術を向上させるために発声技術や呼吸法などに集中する場だった。集中していたが、そこに喜びはなかったのだ。

プライベートレッスン、グループレッスン、一人での練習、あるいは試合や競技をすることも含めたありとあらゆる練習から最大の効果を引き出すカギはここにある。自分がしていることにとにかく集中するのだ。

 
カラオケにいったりして好きな曲を自分の好きなように歌うのと、
プロの歌唱練習とでは全然別物だなと改めて。
この話以外にも、長距離走選手の研究で、以下のようなことが本に記載されてました。

マチュア選手は走ることの辛さや疲労感から逃れるために楽しいことを考えたり空想にふけったりする傾向があるのに対し、トップクラスの長距離選手は自らの身体に意識を集中させ、最適なペースをつかみ、レースの間それを維持するのに必要な調整をしていく。

 

一流の人達は苦しみの中でも、そこから逃げずにそれに向き合っているんだなと、こういうプロの方の姿勢は本当に見習いたいです。

・練習は細分化された目標に対して、短時間で集中的に行う
こちらの話は以前の記事でも少しお話しました。こちらも、当書から文を引用させてもらいます。

集中して意識的に練習に取り組むことが何より大切なので、新しい技能をもっと早く取得するのに一番良いのは毎回明確な目標を設定して練習時間を短くすることだ

100%の力で短い時間練習するほうが、70%の力でもっと長く練習するより好ましい。これ以上集中できないと思ったら、練習は打ち切ろう。そして練習に最大限集中できるように、睡眠はしっかりとろう

この観点物凄い大事だと思いますし、心がけていきたいです。
ただ、こちらに関しては「何かの技能を上げるためのアウトプットの練習」に有効な話だと思いました。
知識の吸収や暗記のようなインプット作業はもちろん集中も大事ではありますが、かけた時間がものをいうことも多いので、ちょっと話が違うのかなと。
他にも原因を洗い出したり、改善方法を考えたりする、分析作業も、短時間で集中してやるという性質のものではない気がしました。


ベンジャミン・フランクリンの文章書き独学方法
この上達方法は今後役に立ちそうだなと思ったので、当書より引用しておきます。
フランクリンがイギリスの雑誌「スペクテーター」の著者と同じレベルの文章力を身につけるために取り組んだ独学方法です。

1:記事を何本かピックアップして、その記事を思い出せる最低限のヒントだけを書き留め、後日同等の質で文章を書けるか再現する特訓を行った。
自分で書いた文章を元の文章と比較してフィードバックと修正を行ったとのことです。この訓練で文章を書く明瞭さと説得力を身につけたとのことです。

2:「スペクテーター」の記事(散文で書かれている)を韻文に作り変え、元の記事の記憶が薄れてから、その韻文を散文に直す訓練をした。

散文と韻文の違いについては、書きのサイトから引用します。

detail.chiebukuro.yahoo.co.jp

①、散文とは字数や音節の制限とか、韻をふんだりするような制限のない
普通の文章を言います。

②、これに対して、韻文とは言語、文字の配列、字数や音数などに
一定の規律(あえて制限とはいいませんが)のある文章です。
短歌や俳句が典型的ですね。

 

要は、
散文は私が今書いているようなブログとかに書かれている普通の文章で、
韻文は詩とかに書かれているような文章です。

詩は、韻律を考えたり、韻を踏んだりするため、普段使わない言葉を使わなければならず、つまりのところ別の書き方をすることで使える語彙の(知っている語彙ではなく、使える語彙というのが重要。その語彙を知っているのと使えるのは話が別)バリエーションを増やす特訓を行ったみたいです。
散文→韻文、韻文→散文への変換練習を行っていったことで、フランクリンは何かを表したい時最適な言葉を探す習慣がつき、記憶から呼び出せる語彙が増えたとのことです。
そしてこの練習は、英語のスピーキングやライティングにも活かせるなと思いました。いわゆる瞬間英作文の練習方法はこれと似ているなと。

3:『スペクテーター』の記事を使い、1文ずつヒントをバラバラの紙片に書き、シャッフルして順番が分からないようにする。記事や話の内容を忘れた後に、そのバラバラの紙片を一番論理的だと思える順番に並べ、ヒントをもとに文章を書き、そこで出来た分を元の記事と比較した。

このようにして、適切な文章構造と論理展開がされた文を書けるようにする特訓を行ったとのことです。

 

このベンジャミン・フランクリンが行った独学法はかなり学びになることが多いなと思いました。この考えを応用して、英語学習等自分の練習に取り入れていきたいです。

・質の高い心的イメージは、あらゆる事象を体系的にとらえることが出来ている
当書では心的イメージについて、以下のような説明がされていました。

突き詰めれば心的イメージとは事実、ルール、関係性などの情報がパターンとして長期記憶に保持されたものであり、特定の状況に迅速かつ的確に反応するのに役立つ。


私はかつて、物理が大の苦手科目でした。
まず公式が多過ぎるし、公式を覚えたところで使い方が分からないしで、もう何が何だかさっぱり状態でした。
でも、高3になってZ会で習い始めてから、一気に得意科目になりました。
微分積分を用いた物理を教えてくれて、
公式の意味や、1つの公式から他の公式を導出する方法等を徹底的に教えてくれたおかげで、公式の意味やその使い方がしっかり分かるようになりました。
それまでは繋がりが分からなかったたくさんの公式の繋がりが分かり、
体系的にとらえられるようになりました。

当書にもそのことに関連することが書かれていました。

すべての情報が、特定の行為の心的イメージとして統合されている場合、個別のかけらは互いに結びついたパターンの一部となり、それぞれの情報に文脈や意味が与えられるため作業がしやすくなる

 
これは、
質の高いイメージはあらゆる事象を体系的にとらえられている
と言うことが出来るでしょう。
そのことを表す例として、医師のことが書かれていました。

医学生とは異なり、経験豊富な医師は高度な心的イメージを身につけており、そのおかげで一見関係のなさそうな情報も含めてたくさんの事実を同時に考慮することができる。

同時に大量の情報を集め、検討することができるというのが、高度に発達した心的イメージの大きなメリットである。

診断のエキスパートといえる医師の研究では、彼らがさまざまな症状やそれに関連するデータをバラバラな情報として認識するのではなく、より大きなパターンの構成要素として認識することが明らかになっている。


他にも保険販売員に関する研究として下記のことが書かれていました。

大きな成功を収めている販売員は、そうでない人々と比べてはるかに複雑で統合された「知識構造」(本書で「心的イメージ」と呼んでいるもの)を持っていることがわかった。特に優れた販売員は、高度に発達した「こういう場合はこうする」という構造をたくさん持っていた。

 

音ゲーをM君に教えている時も、色々な具体的事象を抽象化して体系的にとらえることが大事という話をよくしていたので、ここら辺の内容は自分の考えを洗練していくのに非常に参考になる話でした。
そして、この体系化というのは自分の心がけ次第で意識的に行うことが出来ると考えています。
例えば、英語ならばsee、watch、lookはどれも「見る」系の動詞です。
これらの3つの動詞を「見る」系の動詞として覚えておく(体系的に覚える)のと、バラバラに単純に1語1語覚えるのでは、
前者の方が記憶に残りやすいです。

今まで私は将棋やチェスをやる人が、対局が終わった後に最初から最後までその対局をならべて再現出来るのは、将棋やチェスをずっとやる過程で記憶力が良くなったからだと思っていたのですが、
それが出来る主な理由は、たくさんの駒を塊(この塊は長期記憶として脳に保持されている)としてとらえ、色々な塊の繋がりを体系的に意味づけて覚えられているからみたいです。単純に1個1個の駒の位置を丸暗記しているからではなかったのです。


・・・・・以上で書きたいことを一通り書けたと思います。
今までの記事で書きたいことはある程度書けたと思っていたので、今回の記事は短めで終えられるかなと思いきや、今までで最長となってしまいました(笑)
でも、当書は本当にそれ位勉強になることが多かったんだなと改めて思いました。

次の記事を当書に関する最後の記事として、改めて読んで思ったこととか感じたことを、
最後に想いとして書ければと思います。

先生不在、独学で力を伸ばすには

前回の記事では、良い先生の探し方について書きました。
良い先生に恵まれれば、自分がやりたいことに対して効率的に練習することが出来て、ぐんぐん腕を伸ばしていけることと思います。

・・・でも、良い先生って中々いないものです。
これが例えば、ピアノとかバイオリンみたいな代表的な楽器だったり、テニスとか野球みたいなメジャーなスポーツだったら、人口が多い分、優れた指導者の方も多いと思うのですが、
ニッチなものになるほど、マイナーになればなるほど良い指導者の方の人数も減っていきます。
他にも金銭的な都合でどうしても先生にお願い出来ない、ということもあると思います。

こうなってくると、自分の力で進める他なくなってきます。
以前イチローさんの本を読んだんですが、イチローさんはここの部分が格段に凄いなと思いました。だからこそ、日本No1の野球プレイヤーになれたんだなと。
そんな文章量がない割にかなりためになる本なので、オススメです。

イチローの流儀 (新潮文庫)

今回の記事では、どういう風に独学で進めていけば良いのかを書いていければと思います。
独学で進めていくには、大きく下記のことが必要だと思っています。

①自分でその分野のことを調べたり、実際少しやってみたりして、その分野を攻略するには何が必要かというのを徹底的に分析する
②分析結果を元に、自分なりの上達論を作る
③練習計画を立てる
④分析と改善を繰り返して練習していく

1つずつ書いていきます。
①自分でその分野のことを調べたり、実際少しやってみたりして、その分野を攻略するには何が必要かというのを徹底的に分析する
そのジャンルを攻略するためには何をやらなければいけないかっていうのを把握していかなければなりません。そのためにまず下調べを行います。
インターネットの普及のおかげで、ここのリサーチの障壁は昔と比べて大分下がったのではないかと思われます。WEBサイトをたくさん見たり、Amazonで本を調べて良さそうなものを買って読んだりしてみて、そのジャンルに関する知識や練習方法を学んでいきます。
以前の記事でも書いたのですが、大学受験の時、私は勉強を始める前に受験の攻略法が書かれた書籍を読みました。

ただ、そのジャンルのことについて自分自身で全くやったことがないと、いくらWEBサイトや本でたくさん勉強しても、何を言っているのか分からなかったりします。
ピアノを全くやったことがない人が、ピアノに関するWEBサイトや本を読んで内容を吸収出来るのか、かなり厳しいと思います。
だから、そのジャンルへの理解を深めるという意味で実際に少しやってみるというのも大事なことだと思います。

②分析結果を元に、自分なりの上達論を作る
①でリサーチを徹底するのは、この②を行っていくためです。なので、①を行う時はいずれこの②を行うんだという意識で行ってみて下さい。
限界的練習の特徴の1つに、「練習方法論が確立されていて、明確に定義された具体的目標がある」というものがありました。

elephantprosody.hatenablog.com


ピアノやバイオリンみたいに練習方法論が確立されている分野なら、その既に作られている練習論に乗っ取って練習していけば良いだけなのですが、
練習論が全然無いもしくはあってもその内容がイマイチなことってざらにあります。
それならば、自分で練習論を作るしかありません。
もちろん、最初からいきなりベストな練習方法を作るのは非常に困難です。
だから最初は間違っても良いので、自分なりに仮説を立てて、このジャンルにはこういう力が必要で、こういう練習が必要だというのを考えます。
私も某音楽ゲームに関してこの練習方法の構築をやっていました。最初は本当に目も当てられないような練習方法でしたが、少しずつ改良を重ねていって、まともな練習方法みたいなのがようやく完成しました。実はここで考えた練習方法はM君に某音ゲーを教えた際の原形だったりします。

③練習計画を立てる
②で練習方法を考えたら、今度はその練習法で練習を行っていったら、目標のレベルに到達するためにどれ位の期間がかかるかというのを算出していきます。
まず、このレベルに到達するためには、この練習をこれ位、あの練習をあれ位するからこれ位の期間が必要だ。次にこのレベルに到達するには・・・みたいな感じで、最終的な目標の前にも、いくつか途中地点での目標を立てます。
英語に関して、私もそれをやっているのでもし良かったら参考にしてみて下さい。

elephantprosody.hatenablog.com

 

ここで大事になってくるのが、他の人がかかった練習時間を参考にして、自分が目標に到達するのにかかる時間の目途を立てることです。
私は英語の勉強でTOEIC900点を目標にしています。英語の勉強法に関しては、英語上達完全マップという、比較的メジャーな練習方法があります。

英語上達完全マップ

英語上達完全マップ―初級からTOEIC900点レベルまでの効果的勉強法


この勉強法を実践している方がいて、その方が費やした勉強時間を参考にしました。

英語上達完全マップを10ヶ月やってみた

この方が約1500時間の勉強で890点とっていたので、1500時間近くやれば900点を取れるだろうと考えました。先程記載した勉強計画はそれを基に立てています。

④分析と改善を繰り返す
③で練習方法論を構築したら、実際に実践をしていきます。
しかしここで注意しなければならないのが、立てた練習方法論が不完全だったり、想定外の問題に当たったりして、必ず壁にぶつかる時がきます。
この時に、「ずっと練習していればいずれ解決するだろう」と思考停止するのではなく、「何が原因なのか、今ぶつかっている壁はどういう練習をすれば抜け出せるのか」っていうのを徹底的に考えていきます。

②で某音ゲーの上達論をM君に教えた時、私はその上達論に自信を持っていました。「この方法さえやれば、誰でも絶対上手くなれる」とさえ思っていました。でも、M君に指導を始めて、いかにその考えが甘いのか思い知らされました。
それこそ、最初の2カ月位はその上達方法が恐ろしい程はまって、えげつないスピードで成長していったんですが、3カ月目位に入って少しペースが落ちてきました。
解決策を考えてそれを実践してもらった結果、その小さなスランプからは抜け出すことが出来ました。
以降、
小さな停滞→改善案→停滞脱出→
小さな停滞→改善案→・・・

っていうのをひたすら繰り返していきました。最初の内は改善案を私が全面的に出していたのですが、M君の実力がつくにつれて自分で考える力がついてきて、段々私が改善案を考える比重は段々減っていきました。私が作った上達法の原形もどんどんアップデートされていって、今はかなりのものになりました。

自分の技術が上がるにつれて分かってくることがあるので、③で考えた上達法を更にバージョンアップさせていくことが非常に重要だな、ということをM君への指導の中で学びました。ここで得られた教訓は本当に大きいです。
壁にぶつかったら打開策を考え、上達方法や練習計画も練り直してっていうのを地道に繰り返していけば、いつか自分に立てた目標に到達出来るもんなんだなと強く思いました。私個人も、今後の英語学習やプログラミング学習に存分に活かしていきたいです。


・・・・・以上が私が考えている、独学での上達法です。
先生がいない状況で練習するのは凄い大変かと思いますが、例え独学だったとしても、上達は決して無理ではないと思っています。
今の私は独学で英語学習をしているのですが、ちょうど上記の方法で行っているところなので、成果が出たらまたぜひ報告させて頂ければと思います!

優れた先生の特徴

前回の記事で、良い先生から習うことが成長の速度をはやめるという話をしました。
皆さんは人生の恩師みたいな人はいらっしゃるでしょうか?

『高校のあの先生の授業大好きだったな・・・今でもされた話覚えてる』
『あの先生に習ったからこそ、この教科は得意科目に出来た』


そんなことを思える先生が何人かいらっしゃったのではないでしょうか。
私もこの先生は本当に凄かった!と思える先生が2人います。大学受験の時に習っていた先生です。どちらの先生もZ会の先生で、それぞれ数学と物理の先生だったのですが、その先生に習ったおかげでその2科目は得意科目でした。

人によって、この先生良かった!と思う条件は異なると思うのですが、今回の記事では自分が思う良い先生の特徴について書いていければと思います。


ざっくりと、こんな感じでかなと思っています。

・分かりやすさ
・教えてくれる内容に目新しさがある
・生徒を惹き込む面白さがある
・生徒との相性が良い
・面倒見が良い、親身か
・生徒の心的イメージを把握して、それをどう改良すれば良いかというところまで踏み込んで教えられるか

1つずつ詳しく書いていきます。

・分かりやすさ
参考書とか教科書で見ると難しい内容を、噛み砕いて分かりやすく教えて下さると格段に理解しやすくなります。
教科書的な説明をただ板書してそのまま説明するだけだと、授業の意味ってあまり無いと思います。私も今後そんな機会があるならば自分なりの言葉や解釈で分かりやすく説明出来るよう心がけていきたいです。

 

・教えてくれる内容に目新しさがある
参考書や教科書に載っていないような役立つ方法論を教えてもらえると、劇的に力がつくことがあります。Z会の先生の授業が本当にそういう感じでした。物理の先生は参考書とかにはあまりない微積を用いた解法を教えて下さり、それまで大の苦手だった物理が一気に得意科目になりました。数学も参考書とかで学ぶと分かり辛い解き方を、その先生が少しアレンジした分かりやすい解き方で教えて下さり、よく分からないまま公式を当てはめるみたいな解き方から脱出し、こちらも得意科目になりました。

 

・生徒を引き込む面白さがある
面白い人の授業ってついつい話に入り込んでしまって、集中しちゃいますよね。その結果、内容もより頭に入ってしまいます。Z会の先生は、その教えている科目が本当に好きなんだなという位熱血的な方だったんですけど、そんな熱血な授業には凄い引き込まれるものがありました。

 

・生徒との相性が良い
例えどんなに人気のある先生でも、ある生徒には合わなかった・・・ということは十分あると思います。その逆も然りです。
例えば、私の場合駿台に通っていたのですが、個人的にそこまでしっくりきませんでした。もちろん優秀な先生揃いだったと思うのですが、授業の感じは比較的オーソドックスで、Z会の熱狂的で濃い先生の授業が好きだった私にとってはちょっと物足りなさを感じてしまいました。
でも、間違いなく駿台の授業が良かったと言う人はたくさんいるでしょうし、授業のおかげで合格出来た人もたくさんいるはずです。
自分にあった先生を見つけることが大事なのかなと思います。

 

・面倒見が良い、親身か
これはその先生の性格だとかスタンスによるところも大きいと思うのですが、何か分からないことや聞きたいことがあって質問したいという時に、先生が面倒見が良い方だと丁寧に教えてくれるので大変助かります。
大学の後輩にFXの勉強をしたい子がいて、私の友人にFXガチ勢がいたので、その友人を紹介して、その友人が後輩に教えている様子を見たのですが、本当に親身だしアドバイスが具体的で感心しかしませんでした。ここまでしっかりアドバイスをもらえれば、かなり上達も早くなるだろうなと。

・生徒の心的イメージを把握して、それをどう改良すれば良いかというところまで踏み込んで教えられるか
そして、ここの部分が当書を読んだ上で一番大事なことと思います。
何かを上達させるには、いかに心的イメージの質を高められるかが重要です。そして、この記事でも関連することを書いたんですが、上手い人の心的イメージをコピーしていくのがかなり上達の近道になることと思います。

そして、その上でどういう先生が優れているのかというと、それは生徒の心的イメージの状態を理解して、自分の心的イメージを伝授出来る先生だと。

例えば数学を生徒に教える時、
『この問題はこの公式を使って解くんだよ』というだけ教え方は、どういう行動をすれば良いかの指導に過ぎず、その行動に至るまでの思考プロセス、すなわち心的イメージの部分の指導は行えていません。
『この問題を見た時に、この部分からこういうふうに考えることが出来るから・・・』みたいな感じで思考プロセスも含めた指導をして、初めて心的イメージを伝授したことになります。

ピッチャーマシーンから出てきた球をバッティング練習してる人に指導する先生がいたとして、
『こうスイングすれば良いんだよ』と教えるだけでは不十分で、

『あの球はこれ位の速さで、この軌道で来ているから、ボールがあの位置にきた辺りでスイングを始めてこの位置で当てられるようにすれば良いんだよ』という指導であれば思考プロセス、心的イメージを含めた指導と言えるでしょう。
ちなみに、先程話したFXの友人はこういうところまで後輩にアドバイスしていました。


・・・以上が私の考える優れた先生の条件です。
独学で進めるとどうしても回り道になってしまうこともあるので、こんな先生に出会えて指導を受けられれば、それは本当に幸運なことで、かなりのスピードで上達出来ることと思います。
もし今後何かの指導を受けたい方がいて、先生を選んだりする機会があった際には、この記事が少しでも参考になれば幸いです。

効率の良い練習をしていくために

私が以前読んだ本について、
これまでの記事で、心的イメージと限界的練習についてお話していきました。

何かを熟練させるためには、質の高い心的イメージが不可欠 - とあるエンジニアの ZERO to ONE

当書の肝、限界的練習とはその1 - とあるエンジニアの ZERO to ONE

当書の肝、限界的練習とはその2 - とあるエンジニアの ZERO to ONE

 

今回はその上で、効率的な練習をしていくには何をしていけば良いのかということを書かせて頂ければと。
そして、以下のことが必要だと私は思っています。

・目標設定をする
・自分でその分野のことについて調べたり、取り組んでみて最低限の知識を得て、どう進めていくかの方針を立てる
・良い先生を見つける
・先人が結果を出している確立された方法論に沿って練習を行う
・フィードバックと改善を繰り返す

1つずつ詳しく書いていきます。

・目標設定をする
まず何かの上達を目指すにあたって、目標設定は物凄く重要だと思っています。
目標無しに漠然と取り組んでしまうと、右往左往してしまいます。

例えば、大学受験の場合だと、
国立を目指すのか私立を目指すのかで、科目数や試験傾向が異なってくるので、すべき勉強も変わってきます。

更に言うと、目標は具体的であればある程、その目標に向けて1本道を目指して進んでいけるので、更に効率が良くなっていきます。

私立大学Aと私立大学Bとでは、よく出題される問題の分野とかも変わってくることと思いますし、漠然と「私立大学合格」を目指すより、
「私立大学A合格」を目指す方が、どういうふうに勉強すれば良いかの道筋が明確になってきます。

・自分でその分野のことについて調べたり、取り組んでみて最低限の知識を得て、どう進めていくかの方針を立てる
最初のスタートダッシュはとても重要です。ここで努力の方向を間違えてしまうと、その努力が水の泡になってしまう可能性があります。
それを防ぐためにも、最初にその分野のことについて色々調べて、大まかな方針をまず立てることが大事かと思います。

私は大学受験の時、ドラゴン桜和田秀樹さんの受験攻略本を参考に、勉強の方針を立てていました。

ドラゴン桜 全21巻完結セット (モーニングKC)
新・受験勉強入門合格ガイダンス
新・受験勉強入門勉強法マニュアル

これらを読んで、
何週も復習することの重要性や、科目毎の攻略法(例えば英語のリーティングであればまずは精読をやる等)、どの参考書が良いか、
等勉強や受験に必要なことを知りました。

どんなジャンルでも、まず下調べをしたり、自分で少しやってみたりして、方針を立てていくことは大事だなと。

・良い先生を見つける
限界的練習では先生の重要さを強調しており、
特にプロ並のレベルを目指すなら先生の存在は必須ということを前回の記事で書きました。
今はインターネットが普及してきたので、昔よりは大分先生を探しやすい時代になったと言えるでしょう。
限界的練習を本格的に実践していくなら、集団指導みたいなところで教わるより、個別指導のところで習った方が効果は高いですし、そのことも本に書いてあります。
しかし、個別で習うとどうしても料金が高くなったりしてしまうので、途中までは集団で習って、ある程度のレベルに達したら個別で習うというのも良いかもしれません。

それでは、どういう先生に習えば実力をスムーズに上げていけるのでしょうか?
次回の記事で書いていければと思います。


そして、本当にお金が無くてそもそも先生にお願いするお金すらなかったり、どれだけ探しても良い先生が見つからない、ということがあるかもしれません。そういう時は独学で進めていかなければなりません。
その時、どうやって進めていけば良いかというのは、次々回の記事で書いていきます。

・先人が結果を出している確立された方法論に沿って練習を行う
これは信頼出来る先生がいる場合、その先生の指示に従って練習していくのが一番簡単でかつ効率が良いと思われます。
その練習法は、その先生が他の生徒にも教えて成果があった方法だったり、その先生自身が実践してきたもので、効果にも信頼性があると思われます。
先生不在でどうしても自分でここの部分をやらなければいけない時の対策は次々回の記事で。

・フィードバックと改善を繰り返す
こちらに関しては前回の記事でも、前々回の記事でも書きましたが、
分析&反省と改善は何かの上達を目指すなら必須です。そしてその分析も具体的で無ければなりません。

例えば、テニスでサーブが上手く入らない人がいたとして、ここの分析を、
「サーブが上手く入らない。たくさん打って練習する。」
という分析にとどめてしまうとあまりに漠然としていて不十分です。

「サーブが上手く入らず、ネットが多い。なぜ、ネットが多いのかというと、トスを前の方にしてしまって、打点の方を前の方にし過ぎているからだ。まずは、トスの練習を徹底して、前の方にいかないようなトスの仕方を練習していく。」
こちらの方が自分が出来ていない箇所の原因分析が具体的なので、改善のための練習法も具体的です。

先生がいる場合、囲碁日本No1の井山さんもやっていてもらったように、
その分析と改善方法の提案を先生に手伝ってもらうのが良いです。
特に初心者のうちは、しっかりした分析も出来ず、改善方法の案出しを自分では出来ない可能性も大なので。


・・・以上が、本の内容も踏まえて私なりに考えた、効率的な練習をするために心がけけなければいけないことです。
先程も書きましたが、
次回の記事では、良い先生の特徴について書いていきます。

当書の肝、限界的練習とはその2

前回の記事では、何かに取り組む時に多くの人が漠然と練習をしてしまうこと、
そういう練習から抜け出した、「目的のある練習」についてのお話をしました。
今回はその目的のある練習より更に濃い練習である、限界的練習についてお話出来ればと思います。


当書で紹介されている、限界的練習の特徴は大きく以下となります。

・練習方法論が確立されていて、明確に定義された具体的目標がある
・きわめて専門性の高い先生に指導を受ける
・具体的目標に対しての練習を意識的に行い、全神経を集中させる
・フィードバックと修正(特に初期の頃は先生からのフィードバックが必要不可欠)

詳しく書いていきます。

・練習方法論が確立されていて、明確に定義された具体的目標がある
目標のある練習との決定的な差がここの部分です。先人が築いてきて、なおかつ実践されて効果が確実である練習方法論があるのと無いのでは、
上達スピードに雲泥の差があります。

この記事でも書きましたが、ピアノやバイオリンには既に上達のための方法論が確立されていて、スキルセットや具体的目標が明確になっているそうです。

昔水泳とかで、
クロール基礎1:25m泳げる
クロール基礎2:50m泳げる
クロール(スピード)1:25mを20秒切ることが出来る
クロール(スピード)2:25mを15秒切ることが出来る
クロール(フォーム)1:・・・
平泳ぎ基礎1 :・・・

みたいなのがあったりしませんでしたか?

この水泳の例だと、泳ぎ方、距離、タイム位しか書いていませんが、
実際はフォーム(これは手、足、体全体とかでも項目を細分化出来そう)、息継ぎとかの項目でもスキルレベルを測定出来そうです。
こういうものが、ピアノやバイオリンにはもっともっと具体的にあると考えて良いでしょう。

・きわめて専門性の高い先生に指導を受ける
囲碁や将棋のプロを目指すなら、弟子入りして、師匠に指導を受けることが当然のことになっています。
独学だとどうしても努力の方向性を間違えてしまって遠回りをしてしまうので、導いてくれる先生がいると目標に向けて直線的に進むことが出来るでしょう。
特に初めの頃は本当に何をどうして良いか分からないものです。右も左も分からない状態なので、ここで導いてくれる人がいないと足踏みをしてしまう可能性があります。
特にプロ級のレベルを目指していくのであれば、正しい方向で努力するよう導いてくれる師匠の存在は必須といっても過言ではないでしょう。

・具体的目標に対しての練習を意識的に行い、全神経を集中させる
「具体的」目標、この具体的というのがとても大事なところだと思います。
前回の記事で、

テニスのセカンドサーブの練習をする際に、
ここのエリア(縦何センチ、横何センチと具体的に決められた領域)に、(弱過ぎる力で狙いにいってはダメで)力7割位で打って10回打って8回入れる
というお話を書いたんですが、
こういう風に目標が「具体的」であることが、本当に、本当に重要なんだと。

例えばここで、
「サーブが上手くなりたいから、とにかくたくさんサーブを打って上達させよう」
みたいな練習法だと、あまりに目標が漠然(サーブが上手くなりたい)としていて、練習の効果もあまり期待出来ません。
具体的な目標Aをまず攻略する、次に別の具体的な目標Bを攻略する・・・これの積み重ねで確かな技術を取得出来るんだなと思いました。

・フィードバックと修正(特に初期の頃は先生からのフィードバックが必要不可欠)
囲碁の現在の日本No1の井山裕太さんは、師匠の石井邦生(九段)さんに自分の棋譜とその分析結果を送り、添削してもらっていたとのことです。

dic.nicovideo.jp


これは限界的練習における、このフィードバックと修正に他ならないなと思いました。
井山さんに関して印象的なエピソードを下記サイトで見つけたので、引用しようと思います。

www.nhk.or.jp

 

小学校に入ると石井邦生九段に弟子入り。
対局で負けるたびに泣いていた井山さんに、石井さんはあることを伝えました。

井山裕太さん
「当時は、よく涙を流している子どもでしたけど、それだけでは何回打っても、何万回打っても強くなれないと。
なぜ負けたのかを検証したり、反省したり、そういうことがないと、それ以上の進歩はないよと。」

それ以来、井山さんはすべての対局を書き起こし、自分の弱点を分析するようになりました。
同じミスを繰り返さないため、どこが悪かったのか、自分で考えるくせを身につけたのです。

 
やっぱり反省と改善が無いと、ただ数をこなしても前進は無いんだなと。
フィードバックと修正は、何かを上達させたいと思うなら、「やった方が良いこと」ではなく、「やらなければならないこと、必須」なんだなと。

当書では心的イメージの質が高くなってくると(ある程度の実力に到達すると)、自分のミスに気付けるようになるが、心的イメージの質が低いうちは(実力がないうちは)それにも気付けないという話もされています。
ある程度のレベルになってくると、自分でフィードバックと修正を繰り返して1人でも上達していけるようになりますが、心的イメージの質が十分でないうちは先生によるフィードバックと改善が必要不可欠と思われます。


・・・・・以上が限界的練習の詳細です。
前回書いた目的のある練習より更に優れているのは、
・確立された練習方法があって、項目が細分化されていて目標が具体的であること
・その道のエキスパートの先生が欠かせないと指摘していること


だと思います。
そして、この限界的練習の話はどんなジャンルにでも活かすことが出来ますし、本でもそういうことが書いてあります。
以前お話した心的イメージのお話と、今回お話した限界的練習の話を知った上で、
それではどのように練習していけば良いのでしょうか。
今後の記事でまた書いていければなと思います。

当書の肝、限界的練習とはその1

今回は、前回の記事で書いた限界的練習の話を書いていきます。
前回の記事の心的イメージ、そして今回紹介する限界的練習の2つが、この本の肝となっています。

「超一流になるのは才能か努力か?」を読んで

 

当書では、多くの人が何かを新しく始めてそれを上達させていく時、漠然と練習をしていってしまうということが書かれています。

この本でも書いてあるのですが、テニスを新しく始めた人を例にしてみます。
テニス部やテニスサークルに入った方がおおよそどんなふうに練習して上達していくかっていうことに関して、よくありそうな流れを書いていければと。

まずはラケットの握り方や振り方を教えてもらって、近距離で手で球出ししてもらったり、ミニテニスをしたりして、少しずつ球感を掴んでいきます。
それが出来るようになってきたら、今後は半面のストレートでラリーをしたり、ラケットで球出ししてもらったりします。それが出来るようになったら、今後はクロスでラリーをしたり、サーブやボレーの練習を始めていきます。
それも出来るようになってきたら、スマッシュの練習をしたり、球出しも3点出しで走りながら打ったりする練習をしていったりします。
一通りのことが出来るようになってきたら、ここからは練習メニューは決まってきて、段々ルーチンみたいな感じになってきます。
ストレートのストローク→クロス→片方ボレー、片方ストロークで打ち合う→片方サーブ、片方ボレー→試合形式

こんな感じのメニューを毎回やっていきます。
これらの練習を一通りこなせる頃には、「テニス」が出来るようになっていくので、楽しむのには十分なレベルになっています。
そして更に上達するために、部活やテニス以外で自分でテニスコートをとって友達と練習したりします。

『テニス楽しいし、もっと上手くなりたい!たくさん練習を積んでいけば上達していけるだろう!』
そんなことを思いつつ、年月をかけて練習していけば、少しずつ年月と共に腕を上げていけるでしょう。

・・・・・サークルだとか部活動の練習とかも基本的にこんな感じかと思います。私もまさしく中高の部活も、大学のテニスサークルもこんな感じでした。
こういう感じで長い期間かけて練習すれば、ある程度のレベルまでいくことが出来るでしょう。

でも、でもなんです。このやり方じゃ、「そこそこ」まではいけても「そこそこ」止まりなんです。個人差はあると思いますが、あるレベルまで到達すると、そこからは横ばいか緩やかな斜め上の成長スピード位でしか上達出来ないでしょう。

そこで、当書では、「目的のある練習」について説明をし、その後に限界的練習について説明しています。
目的のある練習についての特徴は以下の4つと当書で説明しています。

1:はっきりと定義された具体的目標がある
例えばテニスなら、セカンドサーブの練習をしていたとして、
ここのエリア(縦何センチ、横何センチと具体的に決められた領域)に、(弱過ぎる力で狙いにいってはダメで)力7割位で打って10回打って8回入れる
みたいな感じです。

2:集中して行う
1で設定した具体的目標に対して、そこに絞って集中して練習をしていきます。

3:フィードバックをする
先程のセカンドサーブの練習なら、
『10回打って、5回しか入らなかった。コースを外してしまった時はトスが悪くて、打った球がオーバーしてしまっている。なので、トスを気持ち少し前にするようにして、打点を少し前にして打つ』
みたいな反省と改善策の案出しがフィードバックにあたります。

4:居心地の良い領域(コンフォートゾーン)から飛び出すことが必要
先程のセカンドサーブの練習なら、10回打って7回そのエリアに安定して入れられる人がいたとするなら、その人にとっては、
コンフォートゾーン=10回中7回そのエリアに入れられるレベル

ということになります。この人がこれからもずっと同じ広さのコースに10回中7回入れる練習ばっかりしていても、それはコンフォートゾーン内での練習にしかなりません。
なので、
・同じエリアに10回中8回入れるよう練習する
・エリアの範囲を狭くする

みたいに、コンフォートゾーン外の練習をしなければいけません。
自分の今の限界レベルより少しだけ上のレベルの練習をすると良いと当書では記されています。

以上が目的のある練習です。
今思うと、M君に某音ゲーの指導をしていた時は、これらを満たした練習が出来ていました。だからこその、彼の上達の早さだったなと。
でも、当書では、その目的のある練習の更に上をいく限界的練習をあげていて、
それをすることが必要不可欠だと記しています。

ここまででかなりの文量になってしまったので、次の記事で限界的練習について掘り下げて書いていきます。